トルコリラだけじゃない?新興国市場に警戒!

8月の半ばに大幅な下落を見せたトルコリラですが、落ち着きを取り戻したのか一旦はある程度値を戻しました。

しかし、ここにきてまたじわじわと下落のスピードを速めているようです。

前回の記事(トルコリラ急落!政治やファンダメンタルズではない根本的な原因とは?)で書いたように、現在のトルコリラ下落の主な原因とされるエルドアン大統領就任やアメリカとの関係悪化はあくまできっかけに過ぎません。

根本的な原因はアメリカの中央銀行FRBの金融引き締め政策によるものです。

この金融引き締め政策は他の新興国にも確実に影響を及ぼします。

と言うか、すでに影響が表れているようです。

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新興国経済の支え

近年の新興国市場は総じて好調でした。

成長率も高く消費も活発。

経済の状態(ファンダメンタルズ)は良好で、これにより投資も増え、通貨や株価も上昇してきました。

ただこの良好なファンダメンタルズは、主に先進国からの資金流入によるものです。

リーマンショックの後にアメリカ、日本、EUなどの先進国が大規模な金融緩和を行い、大量の資金が世の中に供給されました。

当然、新興国にも多くの資金が流入し、通貨や株価を押し上げ、経済を活性化させていったのです。

要するに、新興国市場の好調を支えていたのは、先進国(特にアメリカ)の金融緩和による資金流入だったわけです。

失われる支え

しかし、このブログで何度も言っているとおり、すでにアメリカは金融緩和を終了しています。

それどころか現在、金融緩和の真逆の政策である『利上げ』と『バランスシート縮小』という強力な金融引き締めを行っています。

金融引き締めとは大ざっぱに言うと、世の中に供給するお金の量を減らしていく政策となります。

これまでの金融緩和によって世の中に大量に供給されたお金の量を、金融引き締めによってどんどん減らしているのが、現在のアメリカです。

下図はアメリカの中央銀行FRBのバランスシート縮小をグラフにしたものです。

出典:https://fred.stlouisfed.org/series/WALCL

全体の様子がわかりやすいように3年前の2015年8月末から現在までのグラフを掲載させてもらいました。

FRBのバランスシート縮小(資金供給の縮小)が始まったのが、2017年10月末からになります。

グラフを見ると、それまである程度一定だった資産の推移ですが、2017年の年末くらいから急激に減少していっているのがわかりますね、

これだけ急速に市場への資金供給が減少しているということです。

そうなると、先進国からの資金供給によって好調を維持してきた新興国経済は、その支えを失うことになります。

さらにFRBは利上げを行っており、金利が上昇してドル高になっています。

高金利とドル高のメリットがあるので、当然資金は新興国からアメリカへと引き上げられていきます。

こうして、利上げによって新興国からアメリカへと資金が流出し、バランスシート縮小によって資金の流入も激減することで、好調だった新興国市場が急落しているというのが現状です。

アメリカとの関係悪化をきっかけとしたトルコリラの急落があまりにも極端で目立っていますが、こうした流れは他の新興国も基本的には同じです。

新興国市場の下落

トルコリラだけでなく多くの新興国通貨がアメリカの金融引き締めによって下落している様子を確認してみたいと思います。

まずはトルコリラ。対ドルのチャートになりますので下落していると右上がりになります。

出典:https://jp.investing.com/currencies/usd-try

続いて、中国人民元。

出典:https://jp.investing.com/currencies/usd-cny

今話題のアルゼンチンペソ。

出典:https://jp.investing.com/currencies/usd-ars

南アフリカランド。

出典:https://jp.investing.com/currencies/usd-zar

そしてブラジルレアル。

出典:https://jp.investing.com/currencies/usd-brl

このように2月の世界的な株価急落以降、似たような動きで各国通貨が下落しているのがわかります。

もちろん全ての新興国通貨が同じ動きをしているわけではありませんが、少なくとも下落しているのはトルコリラだけではなく、多くの新興国通貨が同じように下落を続けているわけです。

まとめ

以上、ここ最近の新興国の為替の推移を確認してみました。

新興国に投資をする場合、いくつかの国に分散投資をするのが基本かと思いますが、新興国全体が下落を続ける今、分散投資によるリスク軽減効果も薄いかもしれません。

これから先ですが、短期的にはもちろん反発して値を戻す可能性はあります。

しかしFRBが金融引き締めを続けている以上、中期的には下落し続けていくでしょう。

個人的には急落と反発を繰り返しながらじわじわと下落していくのではないかなと予想しています。

いずれにしてもアメリカの金融政策の動向次第ということですね。

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