米国債の長短金利差が再び縮小へ!気になる資金需要の低迷

2月の急落から株価はなかなか回復しない中、新年度となりました。

いろいろな見方があると思いますが、1月までの安定した上昇ムードからは明らかに転換したように見えます。

 

今後の株価の動向を探る上で、このブログでも以前からしつこく書いてきたように、アメリカの金利が最も重要になってくるでしょう。

前回の記事(リーマンショック以上の株価急落!今後注意しておきたいポイント)では金利の上昇について書きましたが、あれから2ヶ月近くたったので最近の金利はどうなっているのかもう一度確認しておきたいと思います。

 

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2018年の金利と株価の動き

2017年12月にFRBは追加の利上げを行いました。

年末以降になるとアメリカの長期金利が上昇を続けます。

この間、株価も上昇を続けて1月の後半になるとダウ平均が26616ドルと史上最高値をつけ、日経平均も26年ぶりの高値である240124円をつけました。

 

12月の段階では2.4%程度だった長期金利は2月の初めには2.8%を超えるまでに上昇。

この直後、株価は大幅に急落します。

一方で長期金利は2.8%台後半で推移を続け、2.9%を超えるようになりました。

3月21日にはFRBが追加の利上げを決定。

その後長期金利は下落し、現在では2.8%台前半で推移しています。

 

株価急落も引き締め継続

現在FRBは利上げとバランスシート縮小という金融引き締め策を行っていますが、株価が急落しようとも一貫して引き締めを継続しています。

2月に株価は急落しましたが、3月のFOMCでは大方の予想通り利上げを決定しました。

そして特に注目したいのはバランスシートの縮小です。

下のグラフのとおり、株価急落後もFRBは積極的に資産を縮小していることがわかります。

 

出典:https://fred.stlouisfed.org/series/WALCL

 

ここから予想できるのは、この程度の株価の下落ではFRBの方針が揺らぐことはなく、今後も金融引き締めは継続されるということ。

したがって金融政策の面から見ると、基本的には金利は上昇を続けると予想できるのではないでしょうか。

 

長短金利差の縮小

ただここで気になる点が1つ。

3月の利上げが決定された後、長期金利が若干ですが下落したことです。

これによって長期と短期の金利差が縮小しています。

例として1ヶ月前と2ヶ月前の金利差と現在の金利差を比較してみましょう。

2年債金利 10年債金利 金利差
2月1日 2.161 2.782 0.621
3月1日 2.218 2.811 0.593
4月1日 2.278 2.761 0.483

 

2月1日の2年債と10年債の金利差は0.621ポイントでしたが、4月1日の金利差は0.483ポイントに縮小しており、以前の記事(イールドカーブで株価のピークを予測する!)で取り上げたイールドカーブのフラット化が進んでいることになります。

これがただちに逆イールドになるような懸念はないとは思いますが、気になるところではありますね。

 

なぜ長期金利が下落したのかはいろいろな要因があるため、一概には言えません。

考えられる理由としては、高い金利を求めて株から債権へと資金が移ったこと。

また他国の金利が低く抑えられているため、アメリカの金利も上がりづらくなっているというのも当然あるでしょう。

他にも金利を左右する要素はいろいろありますが、ここではより現実的な部分に注目してみたいと思います。

銀行貸出しについてです。

 

鈍い資金需要

原則として景気が良くなると個人消費が増えます。

個人消費が増えると企業もより多くの商品を製造するために設備投資などの消費を増やしていきます。

こうして資金需要が高まることで、銀行からの貸出しが増えていきます。

そして貸出しが増えていくと、銀行はより大きな利益をえるために金利を上げていくわけです。

 

このように銀行貸出しの増減は、資金需要と金利との間に密接な関係性をもっています。

これはより現実的な観点から現在の金利と景気の動向を探る上で、重要なヒントの1つとなると個人的には考えています。

 

そこで現在の銀行貸出しと資金需要について把握するために活用したいのが『銀行上級貸出担当者調査』です。

ずいぶんと長ったらしい名前ですが(笑)、こちらはFRBが四半期ごとに実施している銀行の融資基準や資金需要の動向に関するヒアリング調査のレポートになります。

この調査によると直近では、融資基準をゆるめた銀行が多くなっています。

これは3期連続となっていて、全体的に融資基準の緩和傾向が続いていることがわかります。

また、資金需要については縮小していると答えた銀行が多くなっていて、こちらは5期連続で資金需要の低下傾向が続いています。

 

つまり、銀行が融資基準を緩和して、もっと貸出しを増やしたいという姿勢であるのに対し、お金を借りたいという人達が少ないということです。

 

これは非常に重要なポイントですね。

銀行がお金を貸したくても借りてくれる人が少ない現状。

しかし一方では中央銀行であるFRBは景気の過熱を恐れ、利上げによってお金を借りづらくさせている。

ただでさえお金を借りたいという人達が少ない中で、このまま利上げを進めていけば、さらに資金需要が低下していく可能性があります。

 

まとめ

金融政策の影響を受けやすい短期金利に対して、長期金利は将来の景気予測や物価動向などさまざまな要因によって決まります。

冒頭から書いているように、利上げによって短期金利は上昇しても長期金利が上昇しないのはこのような資金需要の低迷も影響しているのではないでしょうか?

そして利上げとバランスシート縮小という金融引き締めを継続することで今以上に資金需要が低迷した場合、堅調なアメリカ経済に明らかな悪影響が出るのではないかと考えているわけです。

そうなると短期金利と長期金利が逆転する逆イールドが起こる可能性も想定する必要があるかもしれません。

 

一方でここから長期金利が大きく上昇したら、それはそれでアメリカの経済がもつのかという懸念があります。

どちらにしても資金需要や物価動向の観点から見て、景気の過熱感は感じられないなかでの金融引き締めは本当に継続されるべきなのか疑問が残ります。

この先長期金利は上昇していくのか、それとも上昇せずに逆イールドが現実的に見えてくるのか、予測はできませんが引き続き注視していきたいと思います。

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