6月の利上げの影響とそれに関わる経済指標

しばらく更新しない間に日経平均が久しぶりに2万円台を回復しましたね!

素晴らしい!日本経済は絶好調!これで景気回復間違いなし!

 

・・・な~んてことは、もちろんないと思います(笑)。

悪いことではないですが、ぶっちゃけ「それが何か?」って感じですよね。テレ東の株の番組で解説のおじさんがわかりやすいくらいご機嫌だったのがすごく印象的でした(笑)。

そんな中、6月は政治的な動きとかいろいろありますが一番の注目はやはりアメリカの利上げではないでしょうか?

市場では6月の利上げはほぼ確実というのが大方の見方です。

今回はその利上げの実施に関連すると思われる最近の指標について見ていきたいと思います。

 

下振れする物価

まず大前提として、中央銀行であるFRBの最も重要な役割の1つに「物価の安定化」があります。

ものすごく大ざっぱに言うと「物価の安定化」のためにインフレ目標2%を掲げ、その手段として利上げを行っているわけです。したがって、利上げの行方を考える上でまずは物価の動向に注目することが重要となります。

ということで個人消費の物価動向を示す指標であるコアPCE(個人消費支出)にまずは注目してみたいと思います。

5月30日に発表された4月分のコアPCEは前年同月比で+1.5%でした。これだけでは分かりづらいので、2月分と3月分を含めた表が以下になります。

 

2月分 3月分 4月分
コアPCE(前年同月比) +1.8 +1.6 +1.5

直近3ヶ月ではコアPCEの伸び率が下降しているのがわかります。

これはどういう事かと言うと、個人消費が鈍化して物価が下振れを続けているということです。

このブログでも何度も述べてきたとおり、利上げを行うということは借金の返済負担が増えるということになるので、基本的に個人や企業の消費が低迷します。

したがって最近のコアPCEの下降は当然といえば当然なんですが、一方でFRBはインフレ率(エネルギー・食品を含むPCE総合指数)を2%に維持することを目標としているので、本来であれば今回の利上げは見送るのが妥当だと個人的には思います。

ここからさらに利上げを行えば、今以上に消費が低迷し物価が下落していくでしょう。それでインフレ率の2%維持が可能なのか非常に疑問です。

 

不動産関連の指標

次に金利の影響を受けやすい不動産関連の指標についても見てみたいと思います。

ここでは主な指標である中古住宅販売件数、新築住宅販売件数、建設許可件数の直近の結果を見てみます。

 

予想 結果 前月比
中古住宅販売件数 565万件 557万件 -2.3%
新築住宅販売件数 61万件 56.9万件 -11.4%
建設許可件数 127万件 122.9万件 -2.5%

これらの指標に関して直近の結果のみを取り上げてあれこれ論じるのは適切ではないと思いますが、少なくとも3つの指標とも前月比、市場予想共に下回っているのがわかります。特に新築住宅販売件数がかなり落ち込んだようです。

今回利上げを行った場合、これらの不動産関連指標が落ち込みを見せないか気になるところです。

利上げは住宅ローン金利に直結し、不動産販売件数に大きな影響を与えるので引き続き注意が必要だと思います。

 

まとめ

現在、世界的に需要が縮小している状況です。

それはサウジアラビアとカタールの断行やイランでのテロ事件など地政学的リスクを抱えているにもかかわらず、じわじわと下落する原油価格からも明らかです。

このような状況でアメリカのコアPCEの推移が落ち込みを続けています。

上記に述べたように、これはアメリカの物価上昇のペースが明らかに鈍化していることを意味します。

この上、今回利上げを行うのであれば今以上に消費の低迷を招き、さらなる物価上昇ペースの鈍化が懸念されます。

確かにアメリカの株価は史上最高値を更新していますが、実体経済に過熱感は見られず、冷え込みの兆候すら感じられますし、FRB自身が掲げるインフレ率2%を維持するためには、今回の利上げは逆効果になると考えます。

頼みの失業率の低下も労働参加率自体が低下傾向にあるので、あまり鵜呑みに出来ない状況です。

したがって何度も言いますが、今回利上げを行う必要が本当にあるのか非常に疑問です。

しかしおそらく利上げは行われるでしょう。仮に今回の利上げが見送られたら、それはそれで市場にはそれなりのサプライズになると思いますが。

実際に今回の利上げが行われた結果、各指標や株式市場がどのようになっていくのかその行方を引き続き注視していく必要がありそうです。

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