FRBによる3月の利上げがかなり濃厚なようですが、この機会に金利と株価の基礎について確認しておきたいと思います。
自分への確認も含めて、なるべく小難しい言葉ではなく簡単な言葉で書いてみたいと思います。
短期金利とは
一言で金利と言っても分類の仕方によって様々なものがありますが、株式投資を行う上で抑えておきたい基本的なものに短期金利と長期金利があります。
短期金利とは取引期間が1年未満の金融資産に関する金利のことをいいます。代表的なものに無担保コール翌日物金利があります。この無担保コール翌日物金利は日本銀行が金利を調節する時に利用するもので、政策金利とよばれます。
よくニュースなどで「日銀が政策金利の据え置きを決定しました。」とか聞いたことあると思いますが、これがその政策金利ってやつです!大ざっぱに言うと、各国の中央銀行は代表的な短期金利を政策金利として利上げや利下げを行い、金利の水準をコントロールするのです。
長期金利とは
長期金利とは取引期間が1年以上の金融資産に関する金利のことをいいます。一般的に長期金利とは新発10年国債の利回りのことを指します。
国債の価格は売買のバランスによって変動します。国債の価格があがると長期金利が下落し、国債の価格が下がると長期金利が上昇します。また住宅ローンや銀行が企業にお金を貸す時の金利の目安となります。
長期金利は将来予測に基づく様々な要因(物価の変動や景気の見通しなど)で国債が売買されることによって変動します。
金利と株価の関係
では、金利は株価にどのような影響を与えるでしょうか?
これは一言では言い表せない複雑な要因が絡み合います。一言で言い表せる法則でもあれば誰も損しないですよね(笑)したがってここでは、あくまで基本的な金利と株価の関係性について書いておきたいと思います。とりあえず概念として理解したいので、あえて話を単純化して書きます。
前提としてその時の景気の動向によって、金利が株価に与える影響は変わってきます。
好景気の時は金利も株価も上昇します。景気が良ければ物が売れるので企業は増産を考えます。増産をするためには新たな機械を導入したり、新店舗をオープンしたりするので資金が必要となり銀行からお金を借りる企業が増えます。
銀行はお金を貸し出す際の金利によって利益を上げているので、お金を借りたい人や企業が増えればより利益を上げるために金利を上げます。また企業のほうは借りたお金で設備投資を行い、業務拡大をして利益が増加していきます。
するとそれまで安全な国債を買って運用していた投資家が、企業の業績が良くなると判断するようになります。そのため国債を売って株を買うようになり、金利が上昇し(国債の価格は下落)、株価が上がります。
逆に景気が悪い状況で金利が上昇すると、物が売れない上に返済の負担も増えるので企業はお金を借りずに設備投資を控えるようになります。商品が売れないのに業務拡大すると損失が大きくなるのでこれは当然ですよね。
これにより、企業の業績が伸びないと判断した投資家はリスクを回避するため、株を売却するので株価が下がります。そして安全な国債などを買うので今度は金利も下がっていきます(国債の価格は上昇)。
銀行は借りてくれる人や企業が少なくなるので、なんとか借りてもらおうと金利を下げます。こうして物が売れなくなると企業や個人がお金を借りなくなるので金利が下がり、株価も下がっていくのです。
しかし、金利が下がると株価が上がることもあります。
金利が下がるということはお金を借りる側の返済の負担が軽くなるということです。したがって景気が上向いてきた時などに金利が低ければ、企業は設備投資をしやすくなります。
これも当然のことで商品が売れる見込みがあり、金利も低ければお金を借りて業務を拡大する企業がたくさんでてくるというわけです。また住宅ローンも組みやすくなり、住宅購入などの消費が増えて企業の業績も良くなり株価が上がっていきます。
まとめ
以上のように金利と株価の関係は、その時の状況によって変わっていきます。金利がこうなったら株価は必ずこうなるみたいな法則はないということです。
今回の記事ではわかりやすくするためにかなり単純化して書きましたが、実際は様々な要因が複雑に絡みあって金利や株価が形成されます。
景気が良くなって金利や株価が上がるのは良いですが、上がり過ぎると過熱してバブルになるので中央銀行が利上げをしたり、景気が冷え込んでいる時は改善するために利下げをする場合もあります。したがって各国の中央銀行も景気動向や物価などに注視して慎重に金利を調節しているわけです。
やはり投資を行う上で、それぞれの指標がどう影響しあっているか基本を理解しつつ、色々な状況に対応できるように注意深くやっていくことが大切だと思います。
ま、それが難しいんですけどね・・・(笑)